「本当の日本のリベラル」こそまず改憲をめざせ
ですが、BLOGOS側のエントリがスマッシュヒットして支持とコメントを多数いただきました。ありがとうございました。
コメントはいいもの、悪いもの、どうしようもないもの、いろいろあるんですが、その中で気になったのは「日本のリベラルは、リベラルあるいは革新なのに護憲だからおかしい」というのが多数あったことです。こういう話は前々から聞きますし、中には「安倍は改憲賛成だからリベラル、共産党こそ保守」などという人まで居ます。
「リベラルなのに護憲」、実は全くおかしくありません。なぜなら、憲法は手段であって目的ではないからです。革新が革新したいのは、国のありようです。非常に曖昧な言い方ではありますが、現実に国をどうなっているかを変えたいのがリベラルなのです。そのために法律を変える必要があるなら変えるし、実態が法に即していないなら厳密に施行させるようにします。
国のありようというと曖昧なので、労働時間を例に出しましょう。残業0社会を目指したい、というのは立派なリベラルとしての目標です。対して保守派は、経済成長や国益のためにはサビ残もいとわないようじゃダメだ、と主張するでしょう。実際そのように若者を批判して炎上する経営者は何人も居ます。
そこでリベラル政党はどうするの?と言いますと、法整備をし、それを順守させるわけです。では現状はと六法全書を紐解いてみれば、ここで憲法に相当する労働三法は、かなり明確に残業させない方向の法律であることがわかります。であれば、現状を許さず、既存の法を厳格に運用するように仕向けるのが一番ということになります。
こうたどれば答えは明白だろうと思います。KAROSHIの国として名高い日本を革新すべく残業をなくすためには、なんと現状の法律を変えないのが一番良いのです。
大切なのは、現状の法律がどれだけ主張を実現するのに役立つかということです。実際、日本国憲法は、現状かなりリベラルな憲法といえますから、むしろ護憲で当然なのです。
このように考えると、「改憲こそリベラル」みたいどうでもよい形式的定義にこだわった言い方は、政治のなんたるかが分かっていない事がわかっていただけると思います。まあ、ジョークのつもりなのかもしれません。いや、きっとジョークに違いありませんね!
ん?そこで「お前リベラルこそ改憲すべきってさっき言ってたよね?」という事に気づいた人はなかなか勘の良い人です。L.starがリベラルとして改憲を主張した背景は、護憲派とは若干違う論理です。
例えば現憲法のリベラル度を10、現状を5,保守が目指す国家像を0、というように表してみます。先ほど示したとおり、護憲派の人は「今の憲法は10なのだからこのままいけば現状も10に近づく」と考えます。
実はL.starはそうは思っていません。5から10に近づくには段階が必要であり、いきなり10にしてもできることと出来ないことがあるでしょう。むしろ戦後70年なのに未だに5なのがその問題を示している、と考えます。なのでそこはむしろ妥協して7か8の新憲法を作り、6か7を中期的に目指すのが重要です。国のありようを変えるのは憲法を変えるよりずっと難しい話です。長期戦で構えないといけません。
ちなみに長期戦と言いつつ、96条改憲による軟性憲法化も賛成です。それはPDCAサイクルをきっちり回していくためで、そのためには法律も結果を計測しつつ情勢と相談しながら、変えるべきところがあれば積極的に変えていくべきと思うからです。今の時代、まずは早さが重要です。
そんなわけでつらつらと護憲の話をかいてしまいました。もう一度言いますが、改憲は手段であって目的ではありません。そして、主義主張の本質を決めるのは目的なのです。
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