というわけで(何が)注文していたGoogle Nexus 7がようやく届いた。ちょっと触って見たがKindle Fire対抗とでもいうべき$199からの価格など、安価な端末というイメージも強いが、なかなかの力作である。とりあえず個人的に簡単なレビューを書いておきたい。なお筆者は自称米国在住なので、今回のレビューも米国で行ったことになっていることに注意されたい。それゆえ将来日本版が出た時には色々異なる可能性もある。

良い



  • 使い減りしなさそうな外観。裏はゴムっぽい仕上げになっており丈夫そうであり、表もいつものゴリラガラスかなにかで、どこに持って行っても大丈夫な印象すら受ける。ちなみに表は真っ黒でいかにもiPadだが、最近のタブレットはだいたいそんな感じである。

  • Project Butter。まさに「バターのような滑らかさ」を実現したUIは文字通り「ぬるぬる」メモリ1GBであることも含めて、引っ掛かりはまったくない。即座に10本ぐらいアプリケーションをインストールしたが、極めてスムーズであった。PlayストアはAndroid携帯では重くてかったるいソフトの代表格だったのだが

  • 220dpiの美しい液晶。ぱっと見る限り発色も非常によく、文字も画像も美しく非常に楽しめる。

  • センサー等ほぼ完備。ジャイロ、GPS、Bluetooth、(日本ではなんの役にも立たない)NFCなどなど。特に3G無いのにGPSあり、というのが特筆モノ。

  • プリインストール書籍・雑誌・映画。たちあげて最初のタイミングで、でかでかと「マイライブラリ」ウィジェットが出てきていた。Nexusはもうちょっと素のAndroidかと思っていたが、その点は意外。なお付属映画はなんと去年のトランスフォーマー/ダークサイド・ムーン

  • 日本語は最初からOK。iWnn搭載。

  • $249という価格。ストレージ16GB(13GB空き) 除けば十分ローエンドという価格帯で、特に文句のない感じ。それでこの性能なんだから、本当に言うことがない。


悪い



  • 外部ストレージなし

  • フロントカメラなし。ただしタブレットにカメラ2つというのは、ほんとうに使いドコロがあるのかいつも不思議に思っているので問題なしともいえる。

  • Flash非搭載

  • そもそもクラウド想定。先ほどの映画も、容量を考えるとメモリに入っているとは思えない。

  • 熱い。ちょっと3Dゲームを楽しんでみたが、10分ぐらいで裏がほんのり熱くなった。Heatgateよりひどいんじゃないか。


ちなみに、持ちだしたわけでもないので、Google Nowとかはまだ全然理解できていない。この出来によっては凄い化けるのではないかと思っているが・・・同様に、バッテリーの持ちなども不明である。

しかしいや本当に「Kindle FireやNook Tabletを買う理由が一切なくなった」感じ。Tegra3だからすごい!というところはまだ味わっていないが、それでも全体のスムーズさは特筆モノである。

ただこれとThe New iPadを並べるとどうかというと、これだけ凄いAndroidが出てきてようやく「やっとこれからiPadと競争できるな」というレベルである。iPadが切り開いた10インチタブレット市場という革新に対して、Android陣営はようやくついていくのが精一杯というレベルだった。それだけ差が開いていたわけだが、これでやっと競争のスタートラインにたった、というところだろう。もちろんそれはAndroidとしては大進歩だが。

ただiPadと比べて違うところは「閲覧用端末」であることを全面に押し出しているところだろう。やはりクリエイティブなことをするためには、どうしても7インチは小さい。ちょっとした作業もこなせる10インチとは絶対に違うところで、Nexus 7が7インチなのは、そこをわざと外して勝負する、という姿勢の表れでもあるだろう。

もちろんここからAmazonもAppleも更に凄いマシンを出してくるのは分かりきっている、というか来月にも登場という噂があるわけで、7インチサイズはこれから大激戦が予想される。それは「巨大なアプリストアのシェア争奪戦用の端末」という形でではあるが、とにもかくにも7インチサイズの争いである。Nexus7は、それに乗り遅れなかったという点では十分評価できる。

日本の人がわざわざ買うべきかと聞かれると、ちょっと微妙かもしれない。この端末は前述のとおり「巨大なアプリストア」を背景に成り立っているので、今のところ日本向けコンテンツに乏しいこの状態では、やはり魅力が半減する。といっても十分レベルの高い端末だが、どうせなら8月が噂されるAmazonやAppleの端末を見てからでも遅くないのではなかろうか。ただやはりNexusは比較的素の端末なので、その点が好みな人にはちょうどいいかもしれない。