「日本の特異性」は世界に売れない

を読んでリフレーズの必要性を感じたので。

ガラパゴスについては実際いろいろな意見があるが、この際言っておいた方が良いと思う。ガラパゴスは無敵だ。もちろん、世界中で日本に勝てる国がない、と言う意味ではもちろん無い。誰も相手にしていない、と言う意味で無敵なのだ。あるいはシュレディンガーの猫になぞらえるなら、ガラパゴスな日本商品はまさに観測されていない状態にある。

在欧日本人の大半がこぞって絶賛するのはサランラップとかクレラップなど(商品名だが、ここでは類似品を含んで取り扱う。)である。欧州で売られているのは本当にしょぼいしろもので誰がどう見ても分かるだけの圧倒的な品質差がある。一度でもサランラップを使ったことがあったら絶対に使わない、というぐらいの。でもスーパーの品揃えを見る限り、殆どのヨーロッパ人は使っていないようである。サランラップの優秀さは欧州人には観測されていないのである。

あるいは日本の炊飯器を挙げてみよう。これはこの上なく優秀な機械なのは日本人のほぼ全員があたりまえのものだと考えていることから分かる。しかし日本式の炊飯文化のない国で受け入れられることはない。SUSHIがブームなのかRice Cookerというツールがこちらでも見受けられるのは確かだが、30年前日本で売られていたようなアジア製っぽいのばかりで、日本製のはまず見かけない。

ガラケーに至ってはもっとわかりやすい。キャリアとあまりにも密接に結びついているため、大半の欧米人にとって無価値なのは明白である。日本商品はたしかに高い技術力を持った王様かもしれない。しかし、この無敵の王様は裸だ。かつて売れた商品はそうではなかった。いま必要なのは、もう一度謙虚に自分たちが敵だと認めてもらえるように地味な努力を開始することである。

こんな状態でガラパゴスで何が悪いと開き直るのは、自分たちの価値を全部どぶに捨てている。この上なく愚かな行為だと思うんだが。