民主党政権・鳩山内閣への重大なる懸念


というのがWikipedia:外国人参政権にまで言及されているのを見て、いいかげん以前のエントリより明確に書いておかないといけないかと思い、改めて書いておこう。
オランダはEU域外の外国人への地方参政権付与からトラブルが始まって、やがて内乱に近い状態になった。外国人は都市部に集中してゲットーに居住 し、別国家のような観を呈した。そこにオランダ人が足を踏み入れると敵意を示す。外国人はオランダの生活習慣や価値観を嫌い、祖国のやり方を守るだけでな く、オランダの文化や仕切りを自分たちの流儀に切り換え、変革しようとさえする。時刻の宗教や文化を絶対視し、若い狂信派を育てて、オランダの社会システ ムを破壊し、つくり変えようとする。

オランダ政府はいろいろ手を打ったが、すべて手遅れである。外国人が一定数以上を超え、政治発言力を持ち始めると、取り返しがつかなくなる先例をオランダに学ぶべきである。

これに疑問を呈する人も多いが、ガセである。どこがガセかというと、外国人参政権が絡むところがガセなのである。これの元ネタと呼ばれるのは

娘通信 : 外国人地方参政権問題その4・・オランダの荒廃。


で、それはメルマガに寄稿されたものの転載で、さらに元ネタとしてFrontpage Magazineからの翻訳であると示されている。読んでみると分かるが、翻訳とされる部分のどこにも「外国人参政権」という単語は出てこないのだ。翻訳文と、最初の引用から「外国人参政権」を除いた文章はそっくりと言っていい。もっと言うと全体は「オランダ怖いね。しかし外国人参政権とか言っている日本も他人事じゃないかもね」という2つの異なる文章である。これで気づくだろうか。

ちなみに、Frontpagemagの元ネタは存在する。が、van Go*u*ghという明確な人名間違い(これでぐぐっても出てくるのは日本語のページばかり)や、あからさまな単語がいくつかあるにもかかわらず探すのは困難を極める。google web履歴のおかげで再度探し出すことに成功したが、どうやって見つけたのか全く覚えていない。

The Death of the Dutch?

である。訳はだいたいあっていると言えるが、もちろんここにも外国人参政権に関する非難は一切無い。日本では非常に人気のあるコピペの元になった文章であるが、日本以外では大して人気でもない、無名の記事である。これが非難しているのはつまるところオランダの移民政策である。

なんのことはない、「オランダの荒廃記事」の感想として「日本も外国人参政権問題あるし心配だ」というのがあって、その記事がコピペされる間に合体し「外国人参政権でオランダが荒廃した」になっただけなのである。

同様のことは

移民問題と参政権問題を混同している反対派


でも指摘されている。まあ混同される理由はそういうことなのだ。「オランダの悲劇」が本当に存在するとして(L.starは疑っているが)きちんと説明するのであれば、このコピペの系統とは全く異なる論証が必要になるだろう。残念ながら見たことはない。

ちなみに某SNSの外国人参政権反対関連のコミュニティで「これは反対意見として正当なのか」という議題が出ていたのを見た(このblogが貼られていて、リファラをたどって発見した)が、それを言い出した人は周りから袋だたきにされていたのを覚えている。内ゲバとはああいうのを言っていたんだろうなぁ。

参政権については、いや他のことについても、感情論によらない冷静な意見が求められている。反対派の意見は聞いていて「おまえ達は反対したいために理由をでっち上げているだけだろう」と強く感じるばかりだ。多分推測だが、そう言う人たちは心の奥底では外国人(特に中国人と韓国人)を一等下に置くことによる優越感を維持したいのだ。だからアイデンティティの問題なのである。戦後社会が行き過ぎた反省を求めた反動としてのナショナリズムなのだが、かつて嫌韓とか言われていた時代よりずいぶん右に行ってしまっている気がする。

一方でL.starも「そんな残念な理由で反対するのに賛成できるか!」と声を荒げている点はおかしいし、自分の意見に固執する余り冷静さを欠いているかもしれない。まったくこんな不毛な感情論よりも、きちんと練り上げた戦略によってアウトプットを出す、ということに注力しなければいけないのに。