転職歴の多いL.starは50人以下の従業員のソフトハウスに、既に数社勤めている。また、知り合いの会社など含め、オープンソース関係を中心に、情報交換しながらいくらかよく知ることができた。
縦割りの一部門はともかく、多くの独立開業エンジニアは、もちろんそれなりの勝算があって起業しているに違いない。まず一つあげるとすれば、少数精鋭は、大企業の硬直した体制に勝る。例えば大きなSIerの下のくだらない案件の問題点というと、馬鹿げたコーディング規則やいつまでも前構造化プログラミングかと言いたくなるような古めかしい設計などがやり玉に挙げられる。しかし質の低いかもしれない100人に安定して同時に作業させるには、やや馬鹿げた程度に抑えるのはおそらく必要なものであり、その人海戦術によって発生する膨大な開発工数は大企業にしかハンドル不可能である。しかしそう言うモデルではハンドルするに小さすぎる案件では、少数精鋭の高効率モデルのほうが圧倒的に強力であるから、小規模ソフトハウスにも十二分に勝算がある。
他にもいろいろあるが、やはりニッチに素早くターゲッティングできる小回りの良さが、小規模ソフトハウスにはある。L.starが見てきた会社の多くは、うまくそういう良さを発揮していた。最初のうちは。しかし、そこから先、社員50-100人規模を支えられるだけのビジネス拡大には向かない。ジリ貧の原因は2つある。収益モデルと投資力だ。
主に人月商売をしているたいていのソフトハウスは、実は非常にコスト高である。最低でも売り上げの33%程度は直接的な給与支払いに、それとほぼ同額程度の社会保険などの支払いがかかる。しかも生産物は人月から生み出されるものだから、生産のためにほぼ100%割り振らなければならない。
ここから抜け出すのに必要なのは投資である。考えられるものとしては社内でのツールやプロダクト開発、あるいは商用等のツールの導入、新規営業による受注拡大などだろう。どれも金よりも人手間仕事である。これを引き出すのが難しい。20人ぐらいになると管理のコストも馬鹿にならない。非プログラマ要員として雇えるのはせいぜん2-3人にすぎず、販路開拓のための営業を雇うのも苦しい状態だ。そして営業一人程度でできることには限界がある。そもそも元々コスト高な事もあり人を雇うのもリスクがある。結局社長が営業を兼ねたりする。そして、だいたいにおいてソフトハウスの社長などというのは技術者上がりであるから、優秀な営業になれる確率は高くない。
これがまだ5人ぐらいのときなら、管理のコストが小さいため、全員が死ぬほどがんばってカバー可能であるし、社長も自分のコネで十分な仕事をとってこれる。20人はそこで、多くの会社がぶつかる壁らしい。その観測結果から「20人前後の小規模ソフトハウスはジリ貧」という一つの結論に達した。「20人前後に縦割りされた大企業の一部門」もだいたい同じである。当然例外はいくらでもあるんだろうが、不幸にしてほとんど見たことがない。むろん会社を大きくするのは常によいことではない。しかし、できるかどうかとやるかどうかは違う。
今のところこの結論を破るための方法論というのはちゃんと持っていないが、以下のようなものが考えられるだろうか。
・収益構造が人月と比例しないプロダクト持ちになる。ただし、プロダクト開発に必要な投資工数を考えると、それを回収できるだけの売上を得るのは大変である。プロモートまで含めればなおさら。また、顧客基盤とビジネスモデルの大幅な転換を意味するため、今までやってきたことがなんだったのか、ということになりかねない。また、サポートやサービス保守のたぐいも良い。いずれにしても大きな工数はかけられないため、大企業の資本にものを言わせた攻撃には耐えられない。いかにニッチを貫くか。
・まとまった案件を受注する。案件が大きくなればそこに最適化の余地が生じるし、総額が大きいので余裕が生じる。大きすぎたりすると、かえってデスマーチになって問題にもなるかもしれない。一般に大きな案件から共通化できる部分を拾って商品化、という上と絡めた作戦が聞かれるが、実際には日本での案件はあまりにも個別すぎるので、商品化可能になるほどいい線は行かないことが多い。また、細かいのを大量に拾うのは、スキルセットの散逸などを招き根本的な解決にならない。営業基盤の拡大にはなるかもしれない。
・そもそも小規模ソフトハウスにならない。最初から一気にプロダクト専業として開発する。スタートアップ資金を用意しての、本当のベンチャー式企業を目指す。資金調達方法と、コストの削減(この場合人件費は最悪0換算可能であるが)が最大の問題だろうが、まあ一般的な起業である。
縦割りの一部門はともかく、多くの独立開業エンジニアは、もちろんそれなりの勝算があって起業しているに違いない。まず一つあげるとすれば、少数精鋭は、大企業の硬直した体制に勝る。例えば大きなSIerの下のくだらない案件の問題点というと、馬鹿げたコーディング規則やいつまでも前構造化プログラミングかと言いたくなるような古めかしい設計などがやり玉に挙げられる。しかし質の低いかもしれない100人に安定して同時に作業させるには、やや馬鹿げた程度に抑えるのはおそらく必要なものであり、その人海戦術によって発生する膨大な開発工数は大企業にしかハンドル不可能である。しかしそう言うモデルではハンドルするに小さすぎる案件では、少数精鋭の高効率モデルのほうが圧倒的に強力であるから、小規模ソフトハウスにも十二分に勝算がある。
他にもいろいろあるが、やはりニッチに素早くターゲッティングできる小回りの良さが、小規模ソフトハウスにはある。L.starが見てきた会社の多くは、うまくそういう良さを発揮していた。最初のうちは。しかし、そこから先、社員50-100人規模を支えられるだけのビジネス拡大には向かない。ジリ貧の原因は2つある。収益モデルと投資力だ。
主に人月商売をしているたいていのソフトハウスは、実は非常にコスト高である。最低でも売り上げの33%程度は直接的な給与支払いに、それとほぼ同額程度の社会保険などの支払いがかかる。しかも生産物は人月から生み出されるものだから、生産のためにほぼ100%割り振らなければならない。
ここから抜け出すのに必要なのは投資である。考えられるものとしては社内でのツールやプロダクト開発、あるいは商用等のツールの導入、新規営業による受注拡大などだろう。どれも金よりも人手間仕事である。これを引き出すのが難しい。20人ぐらいになると管理のコストも馬鹿にならない。非プログラマ要員として雇えるのはせいぜん2-3人にすぎず、販路開拓のための営業を雇うのも苦しい状態だ。そして営業一人程度でできることには限界がある。そもそも元々コスト高な事もあり人を雇うのもリスクがある。結局社長が営業を兼ねたりする。そして、だいたいにおいてソフトハウスの社長などというのは技術者上がりであるから、優秀な営業になれる確率は高くない。
これがまだ5人ぐらいのときなら、管理のコストが小さいため、全員が死ぬほどがんばってカバー可能であるし、社長も自分のコネで十分な仕事をとってこれる。20人はそこで、多くの会社がぶつかる壁らしい。その観測結果から「20人前後の小規模ソフトハウスはジリ貧」という一つの結論に達した。「20人前後に縦割りされた大企業の一部門」もだいたい同じである。当然例外はいくらでもあるんだろうが、不幸にしてほとんど見たことがない。むろん会社を大きくするのは常によいことではない。しかし、できるかどうかとやるかどうかは違う。
今のところこの結論を破るための方法論というのはちゃんと持っていないが、以下のようなものが考えられるだろうか。
・収益構造が人月と比例しないプロダクト持ちになる。ただし、プロダクト開発に必要な投資工数を考えると、それを回収できるだけの売上を得るのは大変である。プロモートまで含めればなおさら。また、顧客基盤とビジネスモデルの大幅な転換を意味するため、今までやってきたことがなんだったのか、ということになりかねない。また、サポートやサービス保守のたぐいも良い。いずれにしても大きな工数はかけられないため、大企業の資本にものを言わせた攻撃には耐えられない。いかにニッチを貫くか。
・まとまった案件を受注する。案件が大きくなればそこに最適化の余地が生じるし、総額が大きいので余裕が生じる。大きすぎたりすると、かえってデスマーチになって問題にもなるかもしれない。一般に大きな案件から共通化できる部分を拾って商品化、という上と絡めた作戦が聞かれるが、実際には日本での案件はあまりにも個別すぎるので、商品化可能になるほどいい線は行かないことが多い。また、細かいのを大量に拾うのは、スキルセットの散逸などを招き根本的な解決にならない。営業基盤の拡大にはなるかもしれない。
・そもそも小規模ソフトハウスにならない。最初から一気にプロダクト専業として開発する。スタートアップ資金を用意しての、本当のベンチャー式企業を目指す。資金調達方法と、コストの削減(この場合人件費は最悪0換算可能であるが)が最大の問題だろうが、まあ一般的な起業である。
コメント