ブッシュ大統領の任期二期八年が終了し、これからオバマ大統領の任期が始まる。ブッシュについては評価が分かれている、というかむしろぼろくそに言われているようだが、個人的には結構評価している。

ただしそれは「アメリカ大統領という彼の立場を考慮すれば」である。インターネットの誕生あたりが契機になったのだろうか、非常に激動していく社会の中で、ブッシュの取った行動はややもすれば保守的で、アメリカ覇権主義の象徴のようにとられただろうが、あのとき、他にどんな選択肢があったと言うのだろう。

弱腰な行動は、アメリカの敵をつけあがらせただけだろう。優しげな行動は、敵を逆上させ硬化させただろう。結局ああいう強攻策しかなかったのではないか。その点において、いくらか愚策はあったものの、及第点だっだだろう、と言いたいわけだ。アメリカが世界の犠牲になればいい、という類の意見を聞く。が、そんなことが実際にできるとは到底思えない。夢物語が実現しなかったからといって、それを責める気にはなれない。

ただ、強攻策になった結果として、アメリカ経済が崩壊し、世界も不安定になっている。だが、これはもうWW2以前から続く歴史の積み重ねの結果である。むしろ間違った政策でそれを加速しなかった(かどうか、本当には分かりようないのだが)点は評価してしかるべきではないか。現段階で強引につみ取ってまとめあげるのは千年に一人の英雄ぐらいが必要だっただろう。残念だが、明らかにそのクラスではなかったとは思う。

オバマの治世はそもそも就任の前からどうしようもないほど波乱になることが決まり切っている。彼の役割はブッシュがなんとかかんとか寿命を引き延ばしたアメリカの崩壊を何とか支え、適当な落としどころに持って行くことである。

落としどころと簡単に言うが、日本はバブル崩壊以降、延々と責任転嫁を繰り返すだけで、小泉が出てくるまで落としどころなどいつまでも見えてこなかった。(今回の雇用不安定を小泉失政のせいという人がいるが、彼は少なくとも大企業を救った。他の誰が大企業と民衆のどちらかを救ったというのか?)欧米は日本の二の舞にはならないと宣言しているが、実際には果たしてどうか。波乱無く過ごすことができたなら、オバマは間違いなく英雄だろう。