何の気無しに池田信夫blogを読んでみたら、最近のエントリがひどい。
世代間戦争
プログラムされた父殺し
元になったエントリ、ノンワーキング・リッチは比較的まともである。ピーターの法則に従って無能化した人材が高給取りになってしまうという、日本の悲惨な状況を嘆いているだけ。しかし、エントリを追うごとにひどくなっていく。
まず、非常に大きな誤解として、今の格差問題は若者と老人の間にあるのではなく、既得権益者とそうでない人の間にある。これは非常によく似ているようで違う。例えば、非既得権益層にある老人は少なくない(ホームレスを見よ)し、若者でも金融業界でぶいぶい言わせてたのは既得権益層である。
そしてなにより、今回の危機は(金融危機のみを指すのではなく、制度疲弊も含めて)国民全員が当たらなければならないものであり、それを世代間戦争にしてしまうのはありえない。池田氏はそれに気づいてないはずはないのだ。にもかかわらず、彼はこう続ける。
暴力革命を肯定しないところはほっとするが、相変わらず「父殺し」つまり世代間格差を解決する手段としての何らかの(非暴力的な)闘争を推奨する。煽って日本全体が共倒れになったところを漁夫の利を取る誰かの存在から金もらってるんじゃないかと、陰謀論的にでっちあげたくなるぐらいだ。
繰り返すが、今回の危機は本当にやばい類のものだ。本当に必要なのはその危機意識を全員が共有し、一丸となって当たることである。まるで戦争を思い立たせるが、相手が軍隊でないだけで大危機なのは同じである。たぶん、今回得する人はほとんどいず、むしろみんな損をするだろう。しかしそれでも、生き残れるだけましというものだ。
一丸となって当たりたいのなら、まずは危機対応に対して非協力的な既得権益層に対して(協力的なのは良い)不名誉なレッテルを貼ってしまうのが一番良い。「世界的な危機だというのに、自分たちの利益ばかりを考え前向きな行動をしない」というのを一言で表せるのがいい。既存の団塊とかそういうのは、残念なことに既得権益層全体をうまく表す単語ではない。世代間闘争ではないしあってはいけない。
第二次大戦は「非国民」という良い単語があった。小泉総理の「抵抗勢力」もその類だろうか。彼はこの種のレッテル貼りが上手であった。残念なことに今回はマスコミの援護はない(彼らは現在レッテルを貼られる側である)が、ネットは見事に代役を果たしてくれるだろう。
その単語はなかなかうまいものが思い浮かばない。「勝ち逃げ」では良い印象を与えてしまう。「年金泥棒」では趣旨が変わってしまう。「逃げ組」はどうだろう。
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しかし、これだけ持論を繰り広げてみても、池田氏がもしここを見たら何と思うか、ほぼ想像できる。
「甘い」
いや、たぶん甘いのだろう。自分でも分かっている。民衆はそれがどれだけ差し迫っていても、見えない恐怖に対して団結はしない。どれだけまずいことになっていても、目の前の臭いものに蓋をすることでなんとかなるのなら立ち向かったりしない。
でも、それを皮肉めいてせせら笑うだけでは何も生まれやしない。全員の可能性を信じて前を向く、それがこの時代に必要なことではないか。今混沌と騒いでいるところには力があるが、それを方向付けるリーダーに欠けているだけである。
・・・さらに「甘い」と言われそうな内容だな。まあ、悲観的な内容は他の人に任せて、時には前向きな愚痴でも語っておこう。
世代間戦争
プログラムされた父殺し
元になったエントリ、ノンワーキング・リッチは比較的まともである。ピーターの法則に従って無能化した人材が高給取りになってしまうという、日本の悲惨な状況を嘆いているだけ。しかし、エントリを追うごとにひどくなっていく。
私の世代は払った以上の年金を受け取れるので、これはすばらしい制度だ。しかし若年世代は、私の世代の最大18倍の税金を負担する。本当は、若者は暴動を起して、フリードマンのいうように公的年金制度を廃止させるべきなのだが、幸い彼らはそれに気づかない。
- 世代間格差より引用
まず、非常に大きな誤解として、今の格差問題は若者と老人の間にあるのではなく、既得権益者とそうでない人の間にある。これは非常によく似ているようで違う。例えば、非既得権益層にある老人は少なくない(ホームレスを見よ)し、若者でも金融業界でぶいぶい言わせてたのは既得権益層である。
そしてなにより、今回の危機は(金融危機のみを指すのではなく、制度疲弊も含めて)国民全員が当たらなければならないものであり、それを世代間戦争にしてしまうのはありえない。池田氏はそれに気づいてないはずはないのだ。にもかかわらず、彼はこう続ける。
私の世代は、そのころには食い逃げしているのでちっともかまわないが、このまま「景気対策」でごまかしを続けていると、今の30代以下には地獄のような老後が待っていることは覚悟したほうがいい。父殺しのエネルギーは、暴力革命以外の方法で使うこともできる。
-プログラムされた人殺し
暴力革命を肯定しないところはほっとするが、相変わらず「父殺し」つまり世代間格差を解決する手段としての何らかの(非暴力的な)闘争を推奨する。煽って日本全体が共倒れになったところを漁夫の利を取る誰かの存在から金もらってるんじゃないかと、陰謀論的にでっちあげたくなるぐらいだ。
繰り返すが、今回の危機は本当にやばい類のものだ。本当に必要なのはその危機意識を全員が共有し、一丸となって当たることである。まるで戦争を思い立たせるが、相手が軍隊でないだけで大危機なのは同じである。たぶん、今回得する人はほとんどいず、むしろみんな損をするだろう。しかしそれでも、生き残れるだけましというものだ。
一丸となって当たりたいのなら、まずは危機対応に対して非協力的な既得権益層に対して(協力的なのは良い)不名誉なレッテルを貼ってしまうのが一番良い。「世界的な危機だというのに、自分たちの利益ばかりを考え前向きな行動をしない」というのを一言で表せるのがいい。既存の団塊とかそういうのは、残念なことに既得権益層全体をうまく表す単語ではない。世代間闘争ではないしあってはいけない。
第二次大戦は「非国民」という良い単語があった。小泉総理の「抵抗勢力」もその類だろうか。彼はこの種のレッテル貼りが上手であった。残念なことに今回はマスコミの援護はない(彼らは現在レッテルを貼られる側である)が、ネットは見事に代役を果たしてくれるだろう。
その単語はなかなかうまいものが思い浮かばない。「勝ち逃げ」では良い印象を与えてしまう。「年金泥棒」では趣旨が変わってしまう。「逃げ組」はどうだろう。
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しかし、これだけ持論を繰り広げてみても、池田氏がもしここを見たら何と思うか、ほぼ想像できる。
「甘い」
いや、たぶん甘いのだろう。自分でも分かっている。民衆はそれがどれだけ差し迫っていても、見えない恐怖に対して団結はしない。どれだけまずいことになっていても、目の前の臭いものに蓋をすることでなんとかなるのなら立ち向かったりしない。
でも、それを皮肉めいてせせら笑うだけでは何も生まれやしない。全員の可能性を信じて前を向く、それがこの時代に必要なことではないか。今混沌と騒いでいるところには力があるが、それを方向付けるリーダーに欠けているだけである。
・・・さらに「甘い」と言われそうな内容だな。まあ、悲観的な内容は他の人に任せて、時には前向きな愚痴でも語っておこう。
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